今回のノーベル物理学賞はAI 関連研究に授与されました。これは、従来のノーベル物理学賞の受賞範囲には無い範疇で、物理というよりは情報学分野であり、しかもアルゴリズムに関する研究という点で、ノーベル賞の選考委員会が時代を変える新たな分野にも展開しようとする大きな流れを示すものと考えます。
同様にノーベル化学賞も受賞対象が、アルファフォールドというソフトウエアであるという点で、大きな変化がありました。しかもアルファフォールドがAI 技術を積極的に取り入れることで、タンパク質の三次元構造の構築精度を革新的に向上させたことが、ノーベル物理学賞と同じAI での受賞となりました。化学賞でソフトウエアが受賞したというのは、ソフト関連研究者の取っては大きな光明となります。ノーベル化学賞では昔から分析機器に関する受賞が多くありました。島津の田中先生はレーザーイオン化質量分析技術で受賞されておりますが、これはタンパク質の文資料測定にも使われています。
2024年のノーベル賞が大きく変化したというのは、自然界の基本原理の解明から、アルゴリズム等の分野に拡張されたということ。さらに、ソフトウエアでもノーベル賞が授与されるようになったことです。大きな時代の変化を感じます。