2022年6月26日日曜日

人工知能は人間と同じで、学習しなければ賢くなりません:学習データについて考えます(II)

時代と技術の発展がニューラルネットワーク型人工知能の展開を後押ししている。 

 現在のニューラルネットワーク型人工知能の実施には、学習データ量を大きくすることが必要ということは良く知られた事実ですね。 データ収集がインターネット等の技術やIT関連技術の発展により比較的簡単に大量のデータを収集することが可能となったという、技術的な発展がニューラルネットワーク型人工知能の展開を容易にしていると言えます。

自己学習機能がニューラルネットワーク型人工知能の発展や展開の基礎となった。

 現在のニューラルネットワーク型人工知能が急激に発展した理由の大きな要因が、「自分でAI実施のためのルール(知識)を発見する」ということがあります。 つまり、学習データさえあれば人工知能で利用するルール(知識)を自分で発見し、自己学習するということです。 このために、ルールベース型人工知能で必要とされた、エキスパートの関与が不要となり、特殊技術やノウハウの無い分野への人工知能の適用が可能となりました。 この特徴が、現在のニューラルネットワーク型人工知能が急速に普及した主たる理由となります。


 現代のニューラルネットワーク型人工知能はターゲットとする当該分野に関する経験、知識、ノウハウを必要とすることなく、適切な学習データを与えれば自己学習するという理想的な人工知能となります。 この意味するところは、

1.専門家やエキスパートがいない分野でも人工知能技術が適用できる。このために、従来は人工知能の適用が困難とされる様々な分野でも人工知能の適用が可能。

2.ルールベース型人工知能では専門家やエキスパートがいても、ルールの取り出しや人工知能システムの構築が必要であり、専門家とのコミュニケーションが必要で、分野単位の特殊要因等があり、ノウハウのシステムへの搭載困難。この結果、エキスパートの存在が必要、エキスパートのいない分野への適用不可、新規分野への適用困難、等々が出ます。

 現在は、インターネットやIT技術の発展に伴い、大量データの扱いや収集が比較的簡単となっています。 即ち、ビッグデータ時代の到来であり、この点でニューラルネットワーク型人工知能の展開が時宜を得たものとなっています。


2022年6月25日土曜日

人工知能は人間と同じで、学習しなければ賢くなりません:学習データについて考えます(I)

 現在のニューラルネットワーク型の人工知能はデータから学習するので、学習に用いるデータが極めて重要というのは理解できますね。 これに対して従来からの知識ベース型人工知能は、知識自体がシステムに入力されるので、改めて学習する必要はありません。 この場合は、知識を入力する人間が人工知能の代わりに学習し、その結果をまとめて人工知能システムがわかる形で入力(教え込み)します。 

 では人工知能の学習に用いるデータは、どのようなものや条件を満たしていることが必要でしょうか。 現時点で良く分かっていることは、ニューラルネットワーク型人工知能の学習にはかなりの数のサンプルデータが必要だということです。 これに対してルールベース型の人工知能で用いる知識というものは、人間が学習するものなので量的に多いというよりは、まとめやすく、人間が処理できる量で、様々なノウハウを受けて構築されます。 この点で、ルールを設定する過程で、ルールを明確にするようにデータ自体が人間により選択、整理されたものが集めてまとめられます。 この作業は専門分野のエキスパートの関与が必要となります。 この結果、ルールベース型人工知能で求められるデータはルールを作り出す人間が必要とするものであり、その量はニューラルネットワーク型人工知能で用いる学習データよりもかなり少ない量で実施されます。


 上図で示されるように、ニューラルネットワーク型人工知能では大量の学習データが必要となります。 一方で、ルールベース型人工知能は少ない数の学習データで済みますが、人工知能システムが必要なのは知識(ルール)であって、学習データは直接用いません。 その代わりに、知識(ルール)の作成する人間はルールの作成に学習データを必要としますが、そんなに多くのデータではなく、良く整理され、情報的にクリーンなものが利用されます。



 

2022年6月7日火曜日

人工知能は機械学習の中でも、
ネットワークを基本とした機械学習を適用したものです。

 機械学習には多種多様な手法や技術が適用されており、機械学習を適用する多変量解析・パターン認識(MV・PR)や人工知能(AI)の手法や種類により適用される手法が異なります

 機械学習の基本的な実施目的である、最適化、最小/極小化等を行う内容や手法が異なります。 大きく、多変量解析・パターン認識で適用される機械学習法と人工知能(AI)で適用される機械学習法に二分類できます。

 人工知能(AI)で適用される機械学習は、ネットワーク(ニューラルネットワーク型)構造を基本としており、このネットワーク上での情報の流れを実施目的に合わせてコントロールできるように最適化します。 多変量解析・パターン認識上での機械学習でもネットワーク構造を扱うケースもありますが、そのネットワーク構造は人工知能(AI)で適用されるニューラルネットワーク型とは全く異なります。

 個々の機械学習の詳細な説明は別の機会に行いますが、多変量解析・パターン認識での機械学習と、人工知能(AI)で適用される機械学習は異なったものであることを理解しておいてください。 この事実を理解していれば、「機械学習を行えば人工知能(AI)を実施した」とは必ずしも言えないことがわかります。

 「機械学習をして人工知能(AI)を実施した」というためには、人工知能で用いられるネットワーク(ニューラルネットワーク型)構造を用いた機械学習(即ち、深層学習やバックプロパゲーション等)を行ったということが前提となります。



2024年度のノーベル賞について。ノーベル賞の受賞対象範囲や該当分野が大きく変化した。

  今回のノーベル物理学賞はAI 関連研究に授与されました。これは、従来のノーベル物理学賞の受賞範囲には無い範疇で、物理というよりは情報学分野であり、しかもアルゴリズムに関する研究という点で、ノーベル賞の選考委員会が時代を変える新たな分野にも展開しようとする大きな流れを示すものと...